花は野にあるように
「んじゃ、一番大きな忘れ物を拾って上がるかぁ。」


わざとっぽく大きな声で言って、僕のそばに歩み寄ってくる。


え?


僕って、忘れ物?


やだよぅっ!


忘れていっちゃあ。


網棚の上の雑誌みたいな気分を一瞬味わってしまった僕は、いくら冗談でもひどいや、と唇をとんがらせた。


そんな僕に、おおいかぶさるようにしてリョクは身体を近づける。


そして。


「そんな口してると、キスを待っているのかと思っちまうぞ?」


そんな囁きを落として、僕を赤面させる。
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