花は野にあるように
それだけって………。



男でも………って。




………じゃあ、誰でもいいの?


ふいに浮かんだ、その考えに僕は何故だか悲しくなってしまった。


「可愛いって思ったら、誰にでもキ………キス、するんだ?」


そうリョクに言いながら、視線を合わすことができなくて、僕は目を伏せてしまう。


その僕の両頬に、あたたかくって大きな掌があてられると、僕は再びリョクのまなざしを受けるように上を向かされた。


「誰でもじゃないぞ。」


深く視線をからめて、僕を覗き込みながらリョクは言った。


「お前以上にキュートじゃないと、な。」
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