花は野にあるように
そしてまた崖を登り始めたリョクの、力強い腕がロープをたぐって少しずつ前進していくのを、僕はリョクの鼓動を聞きながらなるべくおとなしくして感じていた。


カラン、と音を立てて転げ落ちていく小石や、リョクの足元の方から聞こえる何かが崩れたような音も、聞かなかった振りをして目を閉じ、そうしてリョクに身体を預けることで怖いとは思わないでいられる。


リョクが一緒なら。


怖いものなんて何にもないんだっていう気持ちになれるよ。


それぐらい。


僕は君を信頼してるんだからね。
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