花は野にあるように
耐えきれなくなって、ぎゅうっと目を閉じた僕に。


リョクの鼻先が触れて。





コツン、と額が合わせられた。


………って。


え?


てっきり、またキスされるんだって思っていた僕は、合わせられたのが唇じゃなかったことに意表をつかれて、そうっと目を開いた。


僕の額に触れたリョクの額はすぐに離れていって。


少し難しい顔をして眉根を寄せたリョクの顔が、僕の目の前に現れていた。


「熱はない………みたいだな。」


独り言みたいにそう言ったリョクの言葉を聞いて僕は。
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