花は野にあるように
「大したことねえって。
つい、いつもの癖で荷物作っちまっただけだから。」


鼻の頭を照れたように掻きながら、リョクはそう言って。


そして、思い出したように僕に言った。


「そうだ。
荷物も引き上げてくるな?
早くしねえと、日が暮れちまうもんな。
山に泊まるんだとしたら、夜が来る前に用意終わらせないと、だな。」


だから、と。


リョクは僕の頭をまた、クシャリと撫でた。


「少しだけ一人にしちまうけど、寂しがらずに待っていてくれるか?」


そう、言いながら。
< 476 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop