花は野にあるように

「少し、ね。」


フフ、と笑いを含んだ声でリョクが言う。


「遠慮しなくたっていいって。
あの人に付いていけるのって、付き合いに年季の入ってる俺や親父しかいないんだから。
役所の連中は誰もあの人を上手く扱えたりしないしな。」


さらり、となんだか失礼なことを混ぜながらリョクは言って。


そして、肩からかけていた束ねたロープをリュックの中に押し込んだ。


「勝手にひとりで喋って、話を大きくしようとしてたんだろ？
あの人は悪い人じゃないんだけど、自分のペースを他人に合わせるって事をしないからなぁ。」