花は野にあるように
静かな声で、僕の言葉を否定してリョクは言った。


「慣れてない上に怪我までさせたミキに、野宿させるような事になっちまって、本当にゴメン。」


「違うよっ!
だって怪我したのだって、帰れなくなっちゃったのだって、僕がリョクの注意をちゃんと聞いてなくって飛び出したからじゃないかっ!」


リョクの言葉をさえぎって、僕は大きな声を出す。


だって。


だって本当に。


「リョクは悪くないんだものっ!」


そう言って僕はリョクの腕をとる。


つい、力の入ってしまった右足が少しだけ痛むけど、今は我慢するんだ、僕。
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