花は野にあるように
「山の怖さも、なんにも解っていないのに勝手な事ばかりして迷惑かけちゃって本当にごめんなさい。」


足を投げ出した姿勢で座っているから、すごく変な格好なんだけど。


僕は多少の小さな事には目をつぶることにして。


きちんとリョクに向かって頭を下げて謝った。


ぎゅうって握りしめている僕の手の中にあるリョクの掌がピクリ、と動いて。


そして、僕はもうひとつのリョクの腕の中へ引き寄せられる形で抱き締められた。


リョクの胸の中へ押し付けられた僕の鼻先を、リョクの匂いがかすめていく。
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