花は野にあるように
「俺が悪いんだってば。」


抱き締められた僕の頭上から、リョクの声が降ってくる。


「違うってば、僕の方が………っ!」


言いつのる僕の背中をリョクの手が優しく撫でていく。


「俺なの。」


「違うってば、僕だってば。」


譲らない僕たちの会話は、リョクと僕の、どちらからともなくこぼれ出したクスクス笑いで中断した。


「………ふたりともが、そんな風に言い続けてちゃ、いつまで経っても終わらないね。」


笑い声が止まらないまま、そう言った僕にリョクは。


「違いないな。」


って同意した。
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