花は野にあるように
「僕はリョクが悪いなんてこれっぽっちも思っていないけど。」


指の先だけで作った、ほんの少しの隙間を見せながら、僕はリョクに言う。


「俺はミキが悪いなんてカケラも思っちゃいないけど?」


リョクは喉の奥で笑いながら、そう言う。


「あ、ずるいよリョク。
僕だってそう思っているのに。」


抗議して、リョクの腕の中から見上げる僕の目の前にリョクの笑顔があった。


「俺の勝ちだから、俺が悪いって事な?」


「違うってばぁっ!」


笑いながら言うリョクの逞しい胸板を、僕はふざけて叩きながら、また反論した。
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