花は野にあるように
「笑うなよ。」


ちょっと拗ねた感じでリョクが言う。


「ごめん。
でも、なんだかお母さんって可愛いなぁと思っちゃったらつい、ね。」


言いながら、僕はもうひとつ会話に出てきていた名前を思い出していた。


「そう言えば『みぃちゃん』って………?」


僕の口からポロリとこぼれた、その質問にリョクの身体にピキン、と何かが走ったみたいだった。


「ミ………ミキ?
それ、オフクロが………?」


ギギギ、というきしむ音が聞こえそうな、錆び付いたロボットみたいな動きでリョクが僕を見る。
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