花は野にあるように
「………ん。」


ふわりと飛行機が浮かび上がるような上昇感に似た感覚を味わいながら、僕は目を覚ました。


程よく暖かい、シートの繭をガサゴソと鳴らしながら、足に負担がかからないようにしてゆっくりと起き上がる。


「んん?
目が覚めたか?
おはよ、ミキ。」


なんだかいい匂いが漂ってくるコップの中をクルクルと混ぜながら、燃える焚き火を離れてリョクは僕のそばへと歩み寄ってきて、膝をついた。


「あんまり、長い時間じゃなかったと思うけど良く眠れた?」


優しい口調で尋ねてくれながら、リョクは手にしたコップを僕に差し出した。
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