花は野にあるように
「だいぶん長いこと眠っちゃってた?」


「んー。
1時間ぐらい、かな。
水汲んで帰ってきた時にはもう眠ってたし。
その後、かまど組んで湯を沸かしたぐらいしかしてないからな。」


リョクがそう答えてくれるけど、山の上に広がる空には太陽の光はもう片鱗も残ってはいなくて、僕にはいったい何時ぐらいなのかの見当もつかなかった。


「今、何時なんだろう?」


そう呟きながら僕はシャツの中に入れていた自分のケータイを見た。


山の中で見るにはなんだか無粋な感じのするデジタルな表示は8時を過ぎたところだということを僕に教えてくれる。
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