花は野にあるように
僕がそういうと、リョクはすごく変な表情をした。


「でも、親御さん心配じゃねぇ?
大事な一人息子が山に出掛けたまま、怪我してさ。
よく知ってるわけでもない奴とふたりっきりだろ?」


眉根を寄せて、そう言うリョクに僕はううん、と首を振りながら言葉を返した。


「うちの親はそんな心配はしてないよ。
だって今日出掛けるのだって、僕が行き先を言ったら飛び上がりそうなぐらいの喜びようだったし、リョクの事はきっと会わなくったって信頼してると思うよ?」


僕から毎日のようにリョクの話を聞かされてるからもあるけどね。
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