花は野にあるように
手の中からじんわりと僕を暖めてくれているスープの入ったコップを抱えたままの僕は、それを受け取ろうとして片手を伸ばした。


「あ、手がいっぱいか?
んじゃ、食べさせてあげた方がいい?」


かなり本気っぽい響きの口調でリョクが言う。


「だ、大丈夫だよっ!」


リョクに向かって、なんだかうっとりとしながら口を開けている自分の姿を、つい想像してしまった僕は熱くなってしまった頬をリョクから隠すように、両手でカップを持ってコクリ、とひとくちその温かい液体を飲み込んだ。
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