花は野にあるように
「んんっ………っ!
あっ………ん。」


ゆるゆると首を振って、悪戯なリョクの指から逃れようとする僕だけど、足が動かせないこの状況ではそんなに逃げられたりはしないわけで。


と、いうよりも。


僕は逃げたいんだろうか?


以前にもあった、こんな状況の時には、誰かがいつ入って来てもおかしくないような場所だったけど、今は違う。


ざわめく森の音や、生き物達の声は聞こえる他は、何の雑音も聞こえない山の中で、僕はリョクとふたりっきり。


ためらう理由って。


多分ない………よね?
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