花は野にあるように
僕の身体の奥底から、突き上げるような衝動がせり上がってくる。


いつもの僕なら、そんな熱さに身をまかせることなんてとてもじゃないけど出来ないんだけど。


今なら、いいよね?


何が良いのかはっきり判ってるって訳でもないのに、僕はなんとなく自分の中で尋ねてしまった。


もっと、もっと。


近くでリョクを感じていたくて、僕はリョクの背中に回した手に力を込めてギュッと抱き寄せる。


まだ、片膝をついた姿勢でいたリョクの上体が、僕の方へと深くかがみ込んだ。
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