花は野にあるように
素直に手渡されたタオルを受け取って、僕はシャツのボタンに手をかけた。


プツン、プツンと外していく自分の指が、リョクの指だったら良かったのに、なんて考えがふと浮かんでしまって。


僕の顔はまた熱くなった。


だけど、リョクに気付かれてるかも、と思いながら顔を上げた僕の目に飛び込んできたのは、僕と同じようにタオルを手にしてシャツの前をはだけているリョクの姿だった。


焚き火のそばで、ボタンを外したシャツを引っかけただけのリョクは、その下にグルグルと巻いてあったサラシを外したところだった。
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