花は野にあるように
「まっくらで、足下見えないじゃないっ!
ダメだよ、危ないよっ!」


そう言ってリョクを止めようとするんだけど。


「ん?
あぁ。
心配してくれんだ?
だけど、大丈夫だって。
夜目はきく方だし、さっき何度か登り降りしたから、ルートも頭に入ったし。
ミキはなんにも心配しなくていいから、食べていて?」


優しい笑顔を浮かべながら、ゆっくりと大きな手で僕の頭を撫でてくれるリョクの言葉に僕はうん、と頷いて返事をするつもりだったんだけど。


僕の手は、意識しない間にリョクの服の端を握っていた。
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