花は野にあるように
ますます、困った気分でうつむきかけた僕の頭に、リョクの暖かい手が乗せられた。


「そんな風に困って見せるのも手管のひとつかと思ってしまうぐらい、グラグラ来るよなぁ。」


無意識にやってるんだろうから仕方ないか、なんて独り言みたいに小さく言ってリョクは僕の頭を優しく撫でてくれた。


「これでも、アメリカじゃフェミニストで通ってたんだ。
こんな可愛い子に、こーゆー顔させるようじゃダメだよな。」


そう言うと、リョクは白い歯を見せて爽やかに笑った。


「うん、決めた。
情欲に負けてお前を襲ったりしないように、天地に誓おう。
すっげぇ可愛い笑顔見て守りたいって思ったのに、その俺が襲っちゃダメだもんな。」
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