花は野にあるように
火が焚いてあるんなら、リョクが寒い思いをする事もないよね?


僕はリョクの言葉を額面通りに受け取って、ちょっと安心して目を閉じた。


ついさっきまで眠っていたから、そんなにすぐには眠れないだろうなと思っていたんだけど。


なんだか軟弱な僕の身体は、ポカポカと温められてしまうと気持ちよく僕を睡眠という快楽の海の中へと僕を送り込んだんだった。


風に森がざわめく音は、寄せては返す波の音に似ていて。


くるまれている僕は、まるで子宮の中にいる赤ちゃんみたいに丸くなって、眠りの中で海の音を聞いていた。
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