花は野にあるように
「えと。
じゃ、紅茶を下さい。」


ちょっと呆気にとられた僕がそう言うと、リョクはいそいそって感じに火のそばへと行ってコップにお湯とティーバッグを入れて戻って来た。


「ほんとなら、皿でふたして蒸らすんだけどな。
省略してごめん。」


そんな風に言いながらリョクが渡してくれたコップの中からは、ふわりと花の香りが立ち上った。


「うわぁ、良い香り。
これって、何の香りなの?」


コップからの香りを楽しみながら僕はリョクの顔を見る。


「んん?
それは確か、アールグレイだったな。
まだ、良い香りだよな。」
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