花は野にあるように
「あ、親父と言えばさ。」


リョクが、ふと思い出したように言いかける。


「なぁに?
もう、近くまで来てるの?」


確か、昨日迎えに来てくれるっていう話をしていたような気がするんだけど。


「ん。
ミキが目を覚ます少し前に連絡があってさ、すぐ近くまで来てるから、そこで待ってろって………おっ。」


え?


何、どうしたの?


リョクが言葉を止めて見ている方向に、僕も顔を向けてみた。


「噂をすれば影って奴だな。
あれが親父だよ。」


そう言いながら、リョクはずっと先に見えている小さな人影を指差した。
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