花は野にあるように
………リョクの名前って、緑の風って書いてミカって読むんだぁ。


僕はリョクに手を取られたままで、ぼんやりとそんな事を思っていた。


「ん。
これで良いよな。
俺はお前を泣かせたいんじゃなくて笑顔を見たいんだから、困らせたり、泣かせたりしちゃ本末転倒だもんな。」


ひとりで悦に入ったように言って、うんうんと頷いているリョクの言葉に僕はようやく我に返った。


「え?
な、何?
何、これ。」


「何………って、俺がお前を泣かせたり、困らせたりしないってことだって。」


そう言いながら、ニカッて感じに格好良くリョクは笑った。
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