花は野にあるように
「久しぶりに会う親父に向かって、いきなり『くそ』とは、ご挨拶だな。」


リョクよりも低くて、太い声がうなるように言う。


「けっ!
てめえの嫁を間違えるような、節穴みたいな目ん玉しか持ち合わせてないような親父なんざ、くそ親父で十分だっての。」


リョクは負けずに言い返しながら、じりじりと場所を移動して僕とお父さんの間に入った。


「雰囲気とか、ちょっとオフクロに似てるけど、ミキは俺のっ!
親父の水生ちゃんじゃねえっての。」


ふんっと鼻息荒くリョクが言う。


俺のって………嬉しいんだけど、恥ずかしいよリョク。
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