花は野にあるように
ま、我慢するさ、と呟いたリョクが離れていく気配に、僕はそぅっと目を開けた。


座っている僕から離れて、リョクは池の上に大きく枝を張り出している木のそばへと歩み寄って、根元にしゃがみ込んだ。


そして土を手にとって眺めていたかと思うと、いきなり口へと運んだ。


「な、何してるのっ!
ダメだよっ!」


信じられない思いで僕は慌てて立ち上がり、リョクに駆け寄った。


「ダメだってば!
すぐに吐き出して!」


リョクの制服の袖をひっぱって言う僕を見て、だけどリョクはなんだか嬉しそうに笑った。
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