花は野にあるように
そう、心の中では反論するけど、リョクが僕を気づかってくれているのは判る。


だから僕は素直に頷いた。


「うん。
そうするね。」


一生懸命におっきな氷砂糖の塊をほっぺに寄せながら、まともに聞こえるように返事をする。


気を抜くと、またさっきみたいにワケのわからない言葉になっちゃいそうだものね。


「……………頬袋。」


チラリ、と僕の事を見たリョクのお父さんが、小さく呟いた。


「それって、やっぱりハムスターじゃねぇ?」


答えたリョクの台詞に。


僕はちょっと悲しくなってみた。
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