花は野にあるように
「ミキ?
眠くなったか?」


リョクが声を掛けてくるけど、拗ねた僕は返事をしない。


そんな僕の反応に、リョクはフッと小さく笑った。


「ま、いっか。
眠れるなら、少しでも寝てろよ。」


肩越しに、優しく言葉をかけてくれながら、リョクは僕がずり落ちないようにもう一度抱え直してくれた。


熱いリョクの身体と密着している場所から、僕の身体までもが熱くなってくる。


リョクの歩みと同じリズムで揺れる背中の上で、熱く灼かれて。


僕は自分の中に生まれる熱を、もてあましかけていた。
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