花は野にあるように
「遅かったな、親父。
昼飯、炒飯で良かったら作ってあるから………って、ミキッ?」


中から出てきた人物が、ぶつかりかけた僕を見て声をあげた。


「リョクッ!」


僕は嬉しくて。


まず、リョクの名前を呼びながら飛び付いてしまった。


「なんでミキが………っ痛!」


顔をしかめるリョクに、僕は慌てて抱きついていた腕を離した。


「ご、ごめんね、リョク、怪我してたんだよね。」


そう言う自分の言葉で、僕はまた自分の迂闊さに情けなくなる。


そう。


本当は、あの時にリョクも怪我をしていたんだ。
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