花は野にあるように
崖から落ちた僕を庇うようにして一緒に落ちたリョクは、僕を受け止める形で下敷きになって地面に落ちた。


そのおかげで、僕は軽い捻挫と擦り傷ぐらいですんだのだけれど。


リョクは。


「ん。
あ、いや、大丈夫だって。
あのヤブ医者が、大袈裟に言ったのを聞いちまったのか?
んな、大層な怪我じゃねえって。
ちょっと肋骨にヒビが入っただけなんだからな?」


そう、そんな大怪我をしていたんだ。


僕にはまったく、怪我している素振りなんて見せなかったのに。
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