花は野にあるように
どうした?って尋ねるような響きでリョクが僕の名前を呼んだ時。


僕はリョクの家の玄関先に立ち尽くしたまま、俯いてしまっていた。


「ミ………キ?」


おそるおそるって感じで僕の表情を覗き込もうとしているリョクから顔を背けて。


震える小さな声で言葉を紡いだ。


「……………カ。」



「え?」


聞き取れなかったんだろうと思う。


リョクが聞き返した。


その呑気そうな声を聞いた僕の中で、何かが爆発したみたいに感情が弾けた。


「リョクのバカッ!」
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