花は野にあるように
「いちお、ね。
去年と同じなら、菊の株は同じ鉢で育てているのがあるんだよね。」


リョクの前に広げてあったアルバムを指さして僕は言った。


「え?
でも、この菊の株って園芸部で植えたわけじゃないんだろ?」


リョクがいぶかしげな表情を浮かべながら、きゅうりの甘酢合えをカリ、とかじる。


その視線が、写真に写っている菊の鉢に落ちているのは見なくてもわかった。


「うん。
山元先生のだよ。
やっぱりわかるよね?」


僕は頷いて聞き返す。
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