花は野にあるように
「それではお話をお伺いしましょうか?」


背筋をピンと伸ばして腰かけた理事長先生に、真っ正面から切り出されて、僕は心の準備が整わないまま身体を固くしてしまう。


「あ、あのっ!
その………。」


唇が、凍ってしまったようにうまく動かなくて、ちゃんとした言葉が出てこない。


「どうしました?
話があるのではなかったのですか?」


理事長先生の顔に、いぶかしげな表情が浮かぶ。


そうだよね。


話があるんだって押し掛けて来ておきながら、いざ話すって所で、なかなか口を開こうとしないのって変だよね。
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