花は野にあるように
花のような、果物のような、芳しいその薫りになんだか覚えがあるような気がして、僕は記憶をまさぐった。


あれ?


紅茶の薫りに感動したのって、何時だったっけ?


少しの間考えて、僕はその答えにたどり着いた。


「あ、この薫りってあの時のリョクの紅茶だ。」


前に山で飲ませてもらった、リョクの持っていた紅茶の薫りがこれと同じだったんだ。


「緑風のお茶を飲んだことが?」


理事長先生に聞かれて、僕は頷いた。


「はい。
以前に山の上で、この紅茶をごちそうしてもらいました。」
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