花は野にあるように
「それでは、改めてお話を聞かせていただけるかしら。
どうやら、西の庭園にある花時計のことのようですが、どういったお話ですか?」


僕が、カップをテーブルの上に戻すのを待って、理事長先生はそう切り出してくれる。


僕は先刻までの焦っていた自分とは別人になったように落ち着いて、理事長先生に向かって頷いた。


「はい。
今度の文化祭の園芸部の展示発表に、花時計を利用させていただきたいんです。」


真っ直ぐに理事長先生を見ながら、僕は切り出した。


「あの花時計を、僕達の手で素晴らしい花時計にしたいんです。」
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