花は野にあるように
「でも、もし、お願いできるんなら………。
僕達に、花時計に挑戦する機会を下さいっ!
お願いしますっ!」


叫ぶように言って、頭を下げる。


数瞬の沈黙が、理事長室の中を流れていった。


そうして、小さな吐息が聞こえた後、僕の頭の上から理事長先生の声が降ってきた。


「わかりましたから、頭を上げなさい。」


それを許可の言葉だと、信じて僕は顔をあげた。


でも、正面に座って僕を見ている理事長先生の眉はひそめられている。


「そういった類いのお話を私にしても仕方がないとは思いませんでしたか?」
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