花は野にあるように
そうやって退室しようとした僕の耳に、理事長先生の咳払いが聞こえた。


「お待ちなさい。
話は最後まで聞くものですよ。」


理事長先生の言葉に、僕は顔を上げた。


「私は『考えなかったのですか』と尋ねただけで、貴方の申し出への返答はまだしていませんよ。
………とりあえず、お座りなさい。」


目の端を少し赤くした理事長先生に言われて、僕は膝から力が抜けてしまったように、ストンと再びソファに収まった。


え、と?


理事長先生はなんて言っているんだろう?
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