花は野にあるように
そう言った理事長先生の顔を、僕はまだ言葉も出せないままに、ただじっと見ていた。


それにしてもリョクってば、撮った花の写真を理事長先生に届けていたんだね。


「ただ、こちらからお礼をする前に、特定の生徒からのお願いを私が聞いたという事が公になってしまいますと、非常によくない状況になってしまいますからね。
物事には、踏むべき手順が大事な場合もあるのです。」


コホン、と咳払いをして言う理事長先生は、ちょっと目元を赤くしていて。


………もしかして、照れているのかな?


僕はまさかな、と思いながら口を開いた。
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