花は野にあるように
「土足での入室は禁止です。」


リョクの事をチラリと目だけを動かして見た理事長先生が、冷たい感じの口調になって言う。


「んー?
土足じゃなけりゃあいいんだよな?」


何を言われているのかを熟知しながら、従う気のなさそうな表情をしたリョクのその笑みが怖いんだけど?


僕が口も挟めないでいるふたりの間に、パチリ、と火花が散ったように見える。


「土が付いてなきゃ、土足じゃねぇぞ、っと。」


そう言いながら靴を脱いだリョクは、窓枠の上に危なっかしく座り込んだままで、手にした靴を打ち合わせた。
< 730 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop