花は野にあるように
バシン、と小気味良い音を立てた上靴から、パラパラと窓の外へ付いていたゴミや土が落ちていく。


それを見ながら、僕は下が生徒用の自転車置き場だった事を思い出していた。


「あっ!
リョクッ!」


思わず声をあげた僕の事を、リョクは首を上げて見る。


「土払ったから、土足じゃねぇぞ?
で?
どうした、ミキ?」


床の上にポイ、と放り投げた上靴の上に器用に降り立ちながら、リョクが声を掛けてくれる。


「下に人が通るかもしれないのに、泥を落としちゃダメだよ?」
< 731 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop