花は野にあるように
言葉と同時にリョクの手が動いて、僕の前に置かれてあったカップが持ち上げられる。


そしてアッと言う間もなくリョクは飲み干してしまった。


「ちょうど喉が渇いてたんだよな。
ごっそさん………って。
あれ?
どうして器が1つしか?」

リョクがそう言って不思議そうな表情になる。


「まったく、あなたという人は。
それは私が美樹さんの為に淹れたものです。
喉が渇いていたのなら、おっしゃっていただければ用意するというのに。」


理事長先生が、呆れたように言うけど。


そう言えば、始めからカップはひとつだったよね?
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