花は野にあるように
リョクの唇に、僕のそれは塞がれてしまった。


「リョク………ん………っ!」


あげようとした僕の言葉は合わせられたリョクの唇に吸い取られてしまい、触れるような、羽のように軽いキスを唇の上に何度も何度も落とされて、僕の意識がほわり、と浮かびかける。


ここが、昼休みも終わりに近づいた教室へ続く廊下だっていうことも、知り合いの生徒も、そうじゃない生徒も、たくさん行き交っているんだっていうことも。


どうでもいいような気持ちになる。


だから。


「ふぅ………んっ。」
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