花は野にあるように
「え?」


聞き返した僕を目の前に捕まえたままで、リョクは真っ直ぐに僕を見て、口を開く。


「どうしてだよ。」


そう問いかけた声は、僕の大好きないつものリョクの低い声だったんだけど。


その口調は、いつものリョクから一度も聞いた事がないぐらいに、かたいものだった。


「さっき、キスしたとき、ものすごく怒ったじゃないか。
今のいままで、口もきいてくれないぐらいに怒ってたじゃないか。
それなのにどうして、そんな真似するんだよ。」


そう問うリョクの表情は、気圧されるぐらいに真っ直ぐで。
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