花は野にあるように
僕は急に雰囲気の変わったリョクの様子に、ただ黙ってリョクを見つめてしまう。


「………リョク?」


おずおずと名前を呼んでみた声も、なんだか不安げだったような気がするし。


「俺からのキスは拒むのに、自分から仕掛けるなんてどういう事なんだよ。
俺をからかってるつもりか?」


リョクの真っ直ぐな視線と、言葉。


それはどちらも、激しさを静かに秘めていて、却って僕を責めたてているようだった。


「ち、違うよっ!
リョクをからかっているつもりなんてないよっ!」
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