花は野にあるように
返事を強要されたように、僕の口から言葉が飛び出す。


「リョクをからかったりなんてしないよ。
リョクが理事長先生にしていたみたいな、家族のキスをしたつもりだったんだ。」


言い訳じみた僕の言葉は、言っているうちに段々と小声になってくる。


「でも、さっきはミキ、怒ったじゃないか。」


まだ、かたい表情のままのリョクが言う。


さっきって、昼休みの廊下の事だよね。


「あ、あれはだってっ!
あんなたくさんの人が見ている前でキスをするなんて、アリエナイじゃないっ!
僕は日本人なんだから、人前で堂々とキスを出来るような神経は持ってないんだってばっ!」
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