花は野にあるように
そう思っちゃった途端に、僕はすぐ目の前にあるリョクの顔をひどく意識してしまう。


リョクの両手で顔は固定されていたけど、必死に視線を逸らして。


だけどそれでも、僕の心臓は跳ね上がりそうに激しく鼓動を打ち始めていて。


この大きな音はきっとリョクの耳に届いてしまっているんじゃないかな。


あ、やだ。


顔まで熱くなってきちゃったよ。


「ここなら、いいの?」


そう尋ねるリョクの声が、低く僕の耳をふるわせる。


僕の身体に、ずきりと甘い戦慄が走った。
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