花は野にあるように
稲妻のように僕の身体を走り抜けたその感覚にうながされるように、僕は返事の代わりに瞳を閉じた。


ここなら。


他の人が来ない、この場所なら。


キスぐらいならいいかなって。


そう考えちゃった僕の気持ちを解ったみたいに、リョクの手にチカラが込められる。


そうして、つい、と僕の頭を引き寄せられた僕の、鼻の頭がペロリと舐められて。


「ひゃん。」


予期していなかった刺激に情けない声を上げた僕の唇が、今度はやわらかく塞がれた。


「んん………っ!」
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