花は野にあるように
そんな事を考えている間に、リョクは角度を変えて僕にまた口付けた。


あわさった唇をはまれて、僕の身体がヒクリと反応する。


リョクの大きな掌で耳を塞がれ、外界から遮断された僕の思考がとろけていってしまいそうになる。


「………んっ!」


鼻から抜けていく声が、なんだか甘くなっているような気がするのは、僕の気のせいじゃないのかもしれない。


ちろ、と促すように僕の唇を舐めたリョクに誘われるように、身体から力が抜けて。


そうして薄く開いた僕の口腔に、リョクが侵入してくると思った。


その瞬間。
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