花は野にあるように

「ん。
リョクって日本語だろ？
あっちで発音しやすいあだ名を付けられてさ。
それが『グリ』。
多分、グリーンか、グリン辺りからとったんだろうな。
いつの間にか、あいつらからそう呼ばれてたなぁ。」


しみじみと感慨深そうに言いながら、リョクは空の向こう側を見るように、目をすがめた。


「あいつら、元気にしてんのかな。
俺にロミオ役を押し付けておきながらさ、さんざん歩き方がなってないだの、発音がおかしいだの、殺陣にキレがないだのって，ポンポン言うんだよな。
おメガネにかなうようなレベルになるのにすっげぇ苦労したぜ。」