花は野にあるように
「舞台の上にいる自分は、その役の仮面をかぶってる別の自分なんだよ。
演技して、作り上げた着ぐるみに成りすましてる感じでさ。
だから、つまり、言いたいことはって言うと………。」


言葉を探しながら、頭をガリガリと掻いたリョクは、ちょっとだけ視線を空へ向けた後、僕に笑顔をくれた。


「つまりさ、舞台の上に立っているミキは、いつもの、ここで優しく植物の世話をしているミキじゃなくて、別の人格のミキなんだから、恥ずかしくったってその一瞬だけだって事。」
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